「しゃぼん玉」感想
★★★★☆
直木賞作家・乃南アサの同名小説を映画化。犯罪を重ねて逃亡中の青年が、宮崎の田舎で居候するうちに再生していく様子を描きます。東伸児の劇場映画初監督作。
静かで、地味さはありますが、とても良い映画でした。
主演2人の演技が胸を打ちます。市原悦子さんは演技とも思えないような自然な存在感で、その姿を見ているだけで目頭が熱くなるのはなぜでしょう。林遣都さんは青年の心の変化を繊細な演技で表現していて、2人の絆が心に沁みました。
親の愛を知らずに育ち、お金も無く心も荒んで犯罪者となってしまった人。そんな人が美しい自然の中で美味しい食事を与えられ、清潔な場所でゆっくり眠り、優しくされたらどうなるのでしょうね。
悪いことをしておいて普通なら許されないことだけれど、本当はこうして温かく迎えてくれる人がいれば心が動かないわけ無いと、観ていて思いました。誰かに信頼されて人間らしく暮らすことの大切さを教えられました。
個人的に1つだけ残念だったこと。家で飼っていた柴犬のことだけもやもやが残りました。最初冷たくされてそのままほったらかしだったので、最後に温かく接するシーンが観たかったな…。
作品名 しゃぼん玉
製作年 2016年
製作国 日本
時間 108分
公開日 2017年3月4日
監督 東伸児
原作 乃南アサ
脚本 東伸児
出演 林遣都 藤井美菜
相島一之 綿引勝彦
市原悦子